- 『NEWSを疑え!』第154号(2012年10月15日特別号)
- ◎テクノ・アイ:イスラエルを震撼させたイラン製無人機(静岡県立大学グローバル地域センター特任助教・西恭之)
◎編集後記:抗議する場合も、外交は「相互主義」が常識だよ(小川和久)
◎テクノ・アイ(Techno Eye):
イスラエルを震撼させたイラン製無人機(静岡県立大学グローバル地域センター特任助教・西恭之)
レバノンの親イラン勢力ヒズボラ(神の党)が発進させた無人機が10月6日、イスラエル南部上空で撃墜され、ヒズボラのナスラッラー書記長は無人機がイラン製であることを認めた。
この事件は、二つの点で世界の軍事関係者に衝撃を与えた。第一は、軍用無人機がもはや米国と米国の同盟国や友好国の独占物ではないことを示したこと、第二は、長距離無人機を開発したとのイランの主張が裏づけられ、イスラエルがイラン核施設を攻撃した場合のイスラエル国内への一定の反撃手段を保有していることが明らかになったこと、である。
10月6日午前10時前(日本時間午後7時前)、イスラエル空軍は地中海からガザ地区に接近中の国籍不明機を発見し、イスラエル南部のラモン基地からF-16戦闘機を緊急発進させた。
国籍不明の無人機はガザ地区を横断した後、イスラエル領空を東に56キロ飛行し、南部の都市ディモナとヨルダン川西岸地区の間の森林地帯上空で撃墜された。イスラエル軍は「いつでも撃墜できたが、地上への被害を避けるため、人口の少ない地域の上空まで飛行してから、無人機を撃墜した」と発表した。
この撃墜事件によって、イスラエル国内にはイランとヒズボラに対する一層の警戒感が拡がることになった。
実を言えば、レバノンを発進した無人機はイスラエル沖の地中海を200キロ以上もゆっくりと南下したが、その間、イスラエル北部と中部の基地から戦闘機は緊急発進せず、イスラエルの防空システムの限界を露呈することになったからである。