- 『NEWSを疑え!』第156号(2012年10月22日特別号)
- ◎テクノ・アイ:判明した空軍型オスプレイの事故原因(静岡県立大学グローバル地域センター特任助教・西恭之)
◎編集後記:日中軍事交流「トラック2」は幕を閉じたか(小川和久)
◎テクノ・アイ(Techno Eye):
判明した空軍型オスプレイの事故原因(静岡県立大学グローバル地域センター特任助教・西恭之)
米空軍はこのほど、垂直離着陸輸送機オスプレイのうち、飛行時間の割に事故件数が多い空軍特殊部隊用のCV-22について、編隊飛行訓練の不十分さを認め、訓練の強化を打ち出した。
オスプレイのクラスA事故(死亡、永久的障害または100万ドル以上の損害に至った事故)は、今年6月15日の時点で、海兵隊のMV-22が飛行時間10万時間当たり2件弱と、海兵隊機の平均の2.5件を下回っている。
一方、空軍のCV-22はクラスA事故率が13件と高く、海兵隊のMV-22も同様に危険だとの印象を振りまく原因となってきた。
空軍のオスプレイのクラスA事故として記憶に新しいのは、6月13日、フロリダ州エグリン基地で空軍第1特殊作戦航空団のCV-22が墜落、大破し、乗員5人が負傷したケースだ。
この機体は編隊飛行中、前方のオスプレイの後方乱気流の中に進入した結果、左に横転し、かろうじてパイロットが機体の姿勢を立て直したものの、立ち木に接触して墜落した。
空軍特殊作戦司令部が発表した事故調査報告書(8月30日)によると、墜落したオスプレイとリード機(前方を飛んでいたオスプレイ)の間隔は、水平方向では規定の2‐3倍の500‐750フィート(150‐230メートル)確保されていたが、上下方向では「リード機の25フィート(7.5メートル)より上を飛ぶ」という規定よりも狭く、もろに後方乱気流の影響を受ける範囲内だった。
オスプレイのフライトマニュアルでは、次の図のように、水平方向と上下方向の両方の間隔をとる規定になっている。
事故調査報告書は、この図が、「水平方向の間隔さえ図の範囲の外まで確保すれば、リード機の後方乱気流の影響を受けることはなくなり、上下方向の間隔をとる必要はない」という誤解をパイロットに与えたおそれがあることを認めた。