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『NEWSを疑え!』第159号(2012年11月1日号)

『NEWSを疑え!』第159号(2012年11月1日号)
◎日本映画も学びたいハリウッドの軍事考証システム
・ディテールを忘れて駄作になる日本の映画・ドラマ
・シラケさせないアメリカ映画のリアリティ
・ハリウッド映画を支える国防総省と米軍
◎セキュリティ・アイ:尖閣諸島に手を出せば中国の台湾統一は遠のく?(静岡県立大学グローバル地域センター特任助教・西恭之)
◎ミリタリー・アイ:スーダン空爆でイランを牽制するイスラエル(西恭之)
◎編集後記:君塚陸上幕僚長のこと

ストラテジック・アイ(Strategic Eye):

◇◆日本映画も学びたいハリウッドの軍事考証システム◆◇

国際変動研究所理事長 軍事アナリスト 小川和久

Q:海上保安学校(京都府舞鶴市)の学生採用試験申込者数(2013年春入学分)が7708人と前年の2.5倍に増えた、と報道されました。尖閣諸島はじめ領土問題への関心の高まり、公務員人気などが背景にあるでしょうが、海上保安庁では映画『海猿』効果もあったのでは、と推測しています。海保に限らず自衛隊も、映画製作に積極的に協力するようになってきましたが、ハリウッド映画に協力する米軍と比べるとまだまだですね。今回は、ハリウッドの軍事考証システムについて教えてください。

小川:「海上保安庁は映画『海猿』シリーズで積極的に協力し、認知度の向上に成功しました。自衛隊も以前と比べると積極的に関与しています。たとえば2008年12月に公開された『空へ-救いの翼 RESCUE WINGS-』は、よくできた作品だと思いました。女性初の救難ヘリ・パイロットとなった川島遥風・三等空尉の成長と活躍を描く角川映画ですが、これには防衛省、航空自衛隊、海上自衛隊が全面協力し、本物の航空機、艦船、基地や施設を使って撮影されました」

「それもあって、自衛隊に関するディテールはすばらしく、私のような軍事を仕事にしている『すれっからし』の人間が見ても、飛行シーンなどは手に汗を握る迫真の出来でした。問題は、自衛隊全面協力のディテールの上に、徹底して面白くするための仕掛けがなかったことです。娯楽作品としてのおもしろさを、追求していない。その道のプロが加わって、1本スッと補助線を引けば俄然よくなるだろうに、もったいないな、と思ったものです」

「といっても、本物を使った『空へ』とは比べものにならないお粗末な映画は、残念ながら山のようにあります。私は、映画やテレビドラマの軍事考証でアドバイザーを求められたことが何度かありますが、制作側に基礎知識がないどころか、こちらが真剣にアドバイスしているのに、そのとおりにしない。衣装や記章のように、大してカネがかからないような部分も手を抜き、いい加減にやっつけてしまう。名前を出されることすら恥ずかしい作品が少なからずあるのです」

「そんな話をツイッターでつぶやいたら、そのへんの事情をよく知っている映画マニアが『そうそう』と返してきて、日本映画やドラマを情けなく思っている人が大勢いることを実感しました。そこで今回は、おなじみの西恭之君(静岡県立大学特任助教)が調べてくれたハリウッドの軍事考証システムについてお話ししましょう」