- 『NEWSを疑え!』第181号(2013年1月31日号)
- ◎旧ソ連の「設計局」から見えてくるもの
・技術後発国・ソ連ならではの研究開発組織
・憶えきれないほどの「設計局」の群れ
・ソ連崩壊後は米欧企業との提携も
◎セキュリティ・アイ:テロの背後に見え隠れするアルジェリア軍情報保安部(静岡県立大学グローバル地域センター特任助教・西恭之)
◎ミリタリー・アイ:日本メディアの次期戦闘機F-35をめぐる報道は正確か(西恭之)
◎編集後記:防衛費は大幅増額されたが…
ストラテジック・アイ(Strategic Eye):
◇◆旧ソ連の「設計局」から見えてくるもの◆◇
国際変動研究所理事長 軍事アナリスト 小川和久
Q:メルマガ第177号(2013年1月17日号)の記事「北朝鮮ミサイルに『ウクライナ』の影」のなかに、ウクライナには旧ソ連時代の「設計局」の話が出てきます。ソ連特有のものでしょうが、設計局という組織について詳しく教えてください。
小川:「その号では、ウクライナには大型貨物輸送機で知られるアントノフ設計局、弾道ミサイルのヤンゲリ設計局、ジェットエンジンのロタレフ設計局などがあった、とお話ししたと思います。そのように、旧ソ連時代を通じてウクライナには航空機、ミサイル、宇宙関連、造船などの設計局が集中していました。銃器、弾薬、火砲、戦車、ヘリコプターなど別の兵器については、また別の場所に設計局や製造工場がありました」
「ミグやスホイといえば旧ソ連の有名な戦闘機で、現在はロシアの戦闘機として新しい機種が登場しています。アントノフ124や225などの巨人輸送機は、自衛隊がルワンダやハイチでチャーター機を使いましたし、米軍も使っています。アントノフ124に乗ってルワンダまで飛んだ自衛隊員の話では、垂直尾翼の下にある70座席の部屋に押し込まれ、窓がなくて外が見えず、何とも気色が悪かったそうです。航空機のイリューシンやツポレフ、ヘリコプターのミルやカモフも、一度は聞いたことのある名前でしょう」
アントノフ124巨人輸送機
「これはもともと、航空機開発を担当し、優れた業績を残した主任設計技師の名前なのです。それが設計局の名前となり、航空機の名称ともなっているのです。航空機を中心とする旧ソ連兵器のおさらいを兼ねて、設計局についてお話ししましょう」