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『NEWSを疑え!』第205号(2013年5月2日号)

『NEWSを疑え!』第205号(2013年5月2日号)
【今回の目次】
◎ストラテジック・アイ(Strategic Eye)
◇◆国民が知らない『国民保護』の実態
◆美浜原発対テロ訓練のお粗末
◆シナリオは知識も想像力も欠如
◆特殊部隊とテロリストを混同するな
◎セキュリティ・アイ(Security Eye)
・ソ連の対日参戦は、日本が「隙」を見せた結果だ(静岡県立大学グローバル地域センター特任助教・西恭之)
◎ミリタリー・アイ(Military Eye)
・中国は核兵器の先制不使用政策をやめていない(西恭之)
◎編集後記
・「振り上げた拳」の行方

◇◆国民が知らない『国民保護』の実態

国際変動研究所理事長 軍事アナリスト 小川和久

Q:2013年4月、北朝鮮が挑発をエスカレートさせ、いつ弾道ミサイルが発射されるかもしれない緊張が続きました。そんななか国土交通省の航空交通管理センター(福岡市)や大阪航空局の職員が「発射メール」を相次いで誤送信し、処分を受ける結果となりました。なんとも気の抜けた失態です。福島第1原発でも、ネズミにかじられて停電した、貯水池から汚染水漏れが見つかり別の場所に移そうとしたらまた漏れたなど、情けない事故が頻発しています。どちらも日本国民を危機や危険から守るという重要な問題のはずですが、弛緩したお役所仕事が浮き彫りになりました。いかがですか?

小川:「この国の至るところに、そんな事例がゴロゴロしている印象があります。当たり前の話ですが、日本政府が北朝鮮のミサイル発射を警戒するのは、いざ発射され、万が一日本の領土に落ちても、被害を最小限に食い止めるためです。ところが、そんな主たる目的が役所仕事の中では忘れられ、ある部署の担当者は『発射情報をただちに決められた場所に送信すればよい』とだけ思い込んで、送信することが唯一の目的になってしまう。だから、なにかの拍子に誤送信をやらかす結果になるのです」

「ミサイルや原発だけが問題なのではありません。メルマガ2013年3月14号の編集後記にも書いたことですが、日本政府は目的がはっきりしないまま、日本にも病院船が必要だという議論をずっと続けています。新しい病院船を建造したいのか、中古でよいから病院船を何隻か持ち、国益のために活用したいのか、さっぱりわかりません」

中国のように病院船をアフリカ沿岸諸国に送って医療活動を展開し、影響力の拡大を狙うのか。それとも、南海トラフ地震など国内の巨大災害に病院船を投入したいのか。そんな病院船の目的も不明です。南海トラフ地震の場合は、死者だけでも30万人を超える想定ですから、病院船を1隻や2隻持ったところでどうにもなりませんが」

「そんな目的も論点も定まらないまま、『有識者』を集めてえんえん議論している。そして、病院船が必要だと叫ばれた1995年の阪神・淡路大震災から18年もたつのに、日本はいまだに1隻の病院船も持っていません。あの有識者と呼ばれる人びとの半分は、病院船の議論に必要な知識や経験を持たない『不識者』で、なんとなく集められ、失礼ながら、なんとなくおしゃべりをしているだけという印象です」

「病院船問題でも、『国民を守るため』というそもそもの目的が、どこかに消し飛んでいます。国家に司令塔機能が存在せず、縦割り行政に陥ってしまった象徴的な事例といえるでしょう。どこにいっても同じような話を聞くのが、日本という国なのです」