- 『NEWSを疑え!』第209号(2013年5月20日特別号)
- ◎テクノ・アイ(Techno Eye)
・中国の衛星攻撃兵器は米国GPS衛星網を破壊できない
(静岡県立大学グローバル地域センター特任助教・西恭之)
◎編集後記
・大人の議論になってきた(小川和久)
◎テクノ・アイ(Techno Eye):
・中国の衛星攻撃兵器は米国GPS衛星網を破壊できない
(静岡県立大学グローバル地域センター特任助教・西恭之)
中国が5月13日に打ち上げ、観測目的であると発表したロケットについて、米国防総省は、高高度の静止衛星や全地球測位システム(GPS)衛星を破壊するミサイルの実験、との見方を示している。
米軍は情報活動や作戦指揮を人工衛星に大きく依存しており、中国が2007年に自国の気象衛星をミサイルで破壊する実験を実施したこともあって、中国による衛星攻撃兵器(ASAT)の開発を警戒するのは、無理からぬところがある。
しかし、中国が高高度ASATによって米中の戦力バランスを変えることができるかどうかは、ASATミサイルそのものよりも、それを中国が短時間で大量に打ち上げて管制する能力にかかっている。それが議論のテーブルに上っていない。
中国が5月13日に打ち上げたロケットの地上航跡
中国は5月13日夜9時、軍の施設である四川省南部の西昌衛星発射センターから、目的を事前に発表しないで多段式ロケットを打ち上げた。ロケットは東南東へ急な角度で上昇し、高度1万キロ以上に達したが、人工衛星は軌道へ投入しなかった。ロケットが目撃された香港など中国南部では、UFOの目撃情報が飛び交った。