『NEWSを疑え!』は有料メールマガジンコンテンツです。バックナンバーは会員登録をされた方のみ読む事が出来ます。
  • 会員登録をされていない方は「購読する」ボタンより購読手続きを行って下さい。
  • 購読する

  • 会員の方は枚ページログイン後「バックナンバーを読む」ボタンよりお読みいただけます。
  • バックナンバーを読む

『NEWSを疑え!』第222号(2013年7月4日号)

『NEWSを疑え!』第222号(2013年7月4日号)
【今回の目次】
◎ストラテジック・アイ(Strategic Eye)
◇◆マドリード会議の教訓
◆日本人社会は対テロ会議を知らず
◆自腹で参加した「よい外交官」
◆日本企業は「カネ儲けの方法」を知らない?
◎セキュリティ・アイ(Security Eye)
・米国が示す海洋国家のあり方
(静岡県立大学グローバル地域センター特任助教・西恭之)
◎ミリタリー・アイ(Military Eye)
・人員削減でも戦力低下しない米陸軍の中身(西恭之)
◎編集後記
・英語ができても発信できない…

◇◆マドリード会議の教訓

国際変動研究所理事長 軍事アナリスト 小川和久

Q:日本政府が国連、世界銀行などと5年に1度開催するアフリカ開発会議(TICAD=Tokyo International Conference on African Development)が2013年6月1~3日、神奈川県横浜市で開かれました。最終日には、民間主導のインフラ整備など成長促進策によって「裾野の広い中間層の創出を後押しし、アフリカ大陸を世界成長の原動力にする」という「横浜宣言2013」を採択。まずは成功裏に終わったようです。感想を聞かせてください。

小川:「TICAD終了後の記者会見で安倍晋三首相は、『21世紀半ばにかけ、アフリカは間違いなく成長の中心になる。そこに今、投資しないでいつするのか。伸びるアフリカに投資すべきは今だ』と強調しました。予備校のCMのように『いつやるのか、今でしょう!』と発破をかけたわけで、アフリカ支援のために日本は5年間で官民あわせて3.2兆円を支出するとも約束しました」

「メディアもこうした話を盛んに報じました。アフリカを日本経済の起爆剤に、という観点がもっぱらでしたね。アフリカの経済成長や日本の開発投資の大前提となるのは、もちろんアフリカの『平和と安定』です。アフリカを、カネ儲けの対象として最後に残された未開の大陸とだけとらえるような見方では困るな、と思っていました。ところが、横浜宣言の冒頭には、次の一節がちゃんと盛り込まれていたのです」

「質の高い成長は、TICAD Vの主要テーマである『強固で持続可能な経済』、『包摂的で強靱な社会』、及び『平和と安定』を促進するための一致団結した行動を通じて実現される」(「横浜宣言2013」序論1.3)

●横浜宣言2013(外務省サイト)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/page3_000209.html
●第5回アフリカ開発会議(同)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/ticad/tc5/index.html

「このように横浜宣言が、アフリカの平和や安定まで視野に入れて説得力あるかたちになったのは、外務省の岡村善文・中東アフリカ局アフリカ部長(54歳)が事務局長としてTICADを仕切ったからでした。私は岡村さんをずっと以前から知っています。当メルマガ6月6日号の編集後記でも、『アフリカ開発会議の陰に「よい外交官」』と題して触れました。今回は、この岡村さんと一緒になったスペインの首都・マドリードでのエピソードをお話ししましょう。そこでは、岡村さん以外の日本政府関係者は国際社会の平和と安定について誰一人まじめに考えていないのではないか、と思わざるをえない光景が展開されたのです」


TICAD V開会式に臨む岡村善文・外務省アフリカ部長
(右、首相官邸サイト)