- 『NEWSを疑え!』第232号(2013年8月12日特別号)
- ◎テクノ・アイ(Techno Eye)
・国際共同利用が進む軍事通信衛星
(静岡県立大学グローバル地域センター特任助教・西恭之)
◎編集後記
・『失踪』した朱建栄教授のこと(小川和久)
◎テクノ・アイ(Techno Eye):
・国際共同利用が進む軍事通信衛星
(静岡県立大学グローバル地域センター特任助教・西恭之)
8月7日夜、米フロリダ州のケープカナベラル空軍基地から、米軍の「広帯域グローバル衛星通信システム(WGS)」の6号機がデルタIVロケットで打ち上げられ、静止軌道に投入された。
このシステムは、豪州が6号機の製造費と打ち上げ費を負担する代わりに、衛星1機分の通信路容量を利用できるという協定に基づいており、高価な軍用衛星通信システムの国際共同利用の先駆けとなるものとして注目されている。
広帯域グローバル衛星通信システムは、艦艇と航空機を含む米軍部隊、ホワイトハウス、米国務省、他の参加国の政府と軍に、テレビ会議などの大容量データ通信を提供している。太平洋軍や輸送軍など米統合軍の司令官が地球規模で部隊を指揮統制するうえで、特に重要となっている。
広帯域グローバル衛星通信システム(WGS)衛星(米空軍作図)
これまで米軍の広帯域衛星通信を担ってきた国防衛星通信システム(DSCS III)は、2003年までに打ち上げられた9機が稼働中だが、WGS 1機の通信容量(39チャンネル、毎秒2.1ギガビット)は、DSCS IIIの9機分を上回るとされる。