- 『NEWSを疑え!』第235号(2013年8月26日特別号)
- ◎テクノ・アイ(Techno Eye)
・いま中国の衛星が宇宙空間でしている秘密ミッション
(静岡県立大学グローバル地域センター特任助教・西恭之)
◎編集後記
・「10度の敬礼」って知ってますか?(小川和久)
◎テクノ・アイ(Techno Eye):
・いま中国の衛星が宇宙空間でしている秘密ミッション
(静岡県立大学グローバル地域センター特任助教・西恭之)
ほとんど報道されていないことだが、この1ヵ月あまりの間、中国はロボットアーム(マニピュレータ)を装備した人工衛星を他の中国衛星に接近させる飛行を繰り返しており、より高度な衛星攻撃兵器や偵察能力の向上に応用可能な技術の習得を目指しているとして、世界の宇宙戦専門家の注目を集めている。
中国は7月20日朝、山西省の太原衛星発射センターから長征4Cロケットで創新3号、試験7号、実践15号の3機の衛星を打ち上げた。
新華社電によると、3機の用途は「宇宙ゴミの観測やロボットアームの操作など、宇宙機の維持管理に必要な技術の実験」とされている。そのうち1機は宇宙ゴミの観測機で、ロボットアームを装備した1機が3機目とランデブーするとみられる。
補給機「こうのとり」を捉えた国際宇宙ステーションの
ロボットアーム「カナダアーム2」
これに対して、米軍の宇宙監視ネットワークは3機を追跡し、軌道のデータを公開しているが、中国側は公開するに至っていない。そのため、米軍は「ペイロードA」「ペイロードB」「ペイロードC」と仮の名前を公開し、3機の中国名を特定する情報収集に注力している。
米軍によると、ペイロードCは打ち上げ後3回、ペイロードBへの接近を繰り返しており、8月10日には2キロ以内を相対速度毎秒3メートルで通過した。ペイロードBは、軌道修正用の補助ロケット(スラスタ)を噴射していない。
3機の中国衛星のうち、ペイロードBとペイロードCが特異な行動パターンを示している。