- 『NEWSを疑え!』第289号(2014年3月31日特別号)
- ◎テクノ・アイ(Techno Eye)
・核保安サミットが核燃料サイクルを支持したわけ
(静岡県立大学グローバル地域センター特任助教・西恭之)
◎編集後記
・いい加減、一般論を卒業しよう(小川和久)
◎テクノ・アイ(Techno Eye):
・核保安サミットが核燃料サイクルを支持したわけ
(静岡県立大学グローバル地域センター特任助教・西恭之)
第三回核セキュリティ(保安)サミットは3月25日、核兵器に使用されうる核物質がテロリストに渡るのを防ぐことを課題とした共同声明を採択し、閉幕した。今回の核サミットはオランダ・ハーグで開かれ、日米などの首脳を含む53カ国が集まった。
個別の首脳会談などを除くと、今回の核サミットで注目を集めたのは、日本がプルトニウムと高濃縮ウランを米国に引き渡すとの日米共同声明だった。オバマ米大統領は、2010年の第一回核セキュリティ・サミットを主催した立場から、日米共同声明がサミット最大の成果だと強調した。
その一方、今回のサミット全体の共同声明が抱える、プルトニウムに関する矛盾が見落とされることになった。
共同声明は、高濃縮ウラン(HEU)と分離プルトニウム(他の物質から分離されたプルトニウム)を最小化するという課題について、次のとおり述べている。
「かなりの量のHEUが低濃縮化されて低濃縮ウラン(LEU)となり,また分離プルトニウムは混合酸化物(MOX)燃料に転換された。我々は,国家がそれぞれの国内的要請と一致する形で,HEUの保有量を最小化し,また分離プルトニウムの保有量を最小限のレベルに維持することを奨励する」(外務省仮訳)
日本原燃株式会社の六ヶ所再処理工場
(平成21年版原子力白書)