- 『NEWSを疑え!』第338号(2014年10月2日号)
- ◎ストラテジック・アイ(Strategic Eye)
◇◆ハマスにも伸びる「NKネットワーク」
◆スンニ派がハマスに冷淡な理由
◆北朝鮮がトンネルを掘る
◆ミサイルも北朝鮮由来
◎セキュリティ・アイ(Security Eye)
・シリアで米国が行使した「自衛権」とは
(静岡県立大学グローバル地域センター特任助教・西恭之)
◎ミリタリー・アイ(Military Eye)
・緊縮財政で戦力を喪失したドイツ軍(西恭之)
◎編集後記
・大部屋時代は「いじめ」が少なかった自衛隊
◎ストラテジック・アイ(Strategic Eye)
◇◆ハマスにも伸びる「NKネットワーク」
国際変動研究所理事長 軍事アナリスト 小川和久
Q:ガザ地区におけるイスラエルとハマスの戦闘が、2014年8月26日に停戦合意となって1か月余り。イスラエルの空爆での死者数を連日報じていたメディアの関心は「イスラム国」に移ってきましたが、ハマスについても、知られていない部分が少なくありません。これだけはおさえておきたいというポイントを解説してください。
小川:「かつてパレスチナ暫定自治区(ヨルダンに接するヨルダン川「西岸地区」と、地中海に面しエジプトに接する「ガザ地区」)は、アラファト議長率いるPLO(パレスチナ解放機構)が実権を握っていました。そのパレスチナ暫定自治区で、アラファトの死後、2006年1月の総選挙(パレスチナ評議会選挙)で第一党になった政党がハマスです」
「ハマスは1987年12月、ムスリム同胞団パレスチナ支部を母体として設立されました。正式名称は『イスラーム抵抗運動』といいます。このアラビア文字の頭文字を並べるとハマスで、これが通称になっています。日本のメディアは『イスラム原理主義組織ハマス』と表現することが多いようです」
「ハマスは設立当初から、PLOの影響力を排除した民衆レベルの対イスラエル抵抗組織という性格を、色濃く持っていました。かつてイスラエルは、PLOの勢力を殺ぐ目的で、ハマスを極秘に援助していたことがあるくらいです」
「ハマスはその後、PLOの対イスラエル和平路線を強く批判。2000年頃からはイスラエルへの自爆攻撃やロケット攻撃を始めました。イスラエル、アメリカ、EU(欧州連合)などはハマスをテロ組織に指定し、ハマスが政権に参加してからはパレスチナ自治区に対する援助を停止、かくしてパレスチナ情勢は、今日まで混迷状態が続くことになりました」