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『NEWSを疑え!』第353号(2014年12月4日号)

『NEWSを疑え!』第353号(2014年12月4日号)
◎ストラテジック・アイ(Strategic Eye)
◇◆世界を動かす『孫子』を知ろう
◆アメリカの「平時の戦争」のルーツ
◆情報収集の手順を知らない日本人
◆『拙速』の正しい意味とは
◎セキュリティ・アイ(Security Eye)
・高出生率を背景に強気のイスラエル
(静岡県立大学グローバル地域センター特任助教・西恭之)
◎ミリタリー・アイ(Military Eye)
・米国防長官候補は対北強硬派だが(西恭之)
◎編集後記
・読売は本当に誤報を訂正できるか

◎ストラテジック・アイ(Strategic Eye):

◇◆世界を動かす『孫子』を知ろう

国際変動研究所理事長 軍事アナリスト 小川和久

Q:中国が南シナ海スプラトリー諸島(中国名・南沙諸島)のファイアリー・クロス礁(同・永暑礁)を埋め立て、飛行場建設を進めている、という報道がありました。『孫子』の「戦わずして勝つ」を地で行く動きのように見えます。今回は、『孫子』について話を聞かせてください。

●南沙埋め立て、外部の口出し認めず…中国外務省
(読売新聞サイト 2014年11月25日 07時50分)
http://www.yomiuri.co.jp/world/20141124-OYT1T50077.html

小川:「『孫子』は、中国春秋時代の呉に仕えた思想家・孫武の作とされる兵法書です。孫武という人物を『孫子』と呼ぶ場合もあるので、書物は『孫子』、人物は孫子と表記するとよいかもしれません。孫武が生きた時代から、かれこれ2500年近くたったいま、実は国も企業も、もちろん各国の軍隊も、世界中が『孫子』の考え方を活用しながら動いているといっても過言ではありません。日本人は、そのことに気づき、もっと『孫子』に学ぶべきだ、と私は以前から考えています」

「日本の周囲で、孫子に学んだ動きを盛んに見せているのは中国です。中国は、あとでお話しするように『三戦』を重視して、南シナ海や東シナ海、そして太平洋やインド洋で『戦わずして勝つ』ことを目指しています」

「そういう中国ですから、当然、東シナ海と南シナ海を戦略的に差別化して行動しています。同じような領海侵犯や粗暴な行動といっても、実は緻密に計算されているのです」

「中国は東シナ海、特に尖閣諸島周辺ではアメリカの逆鱗に触れないように注意深く、しかし日本の領海を侵犯することでニュースになるように行動しています。ニュースになることは、中国国内の不満分子に『弱腰だ』と付け入るすきを与えずに済むからです。しかし、小競り合いでも起きようものなら相手は日本とアメリカです。大きな戦争にエスカレートする要素を常にはらんでいる。下手をすると国際資本が中国から撤退し、中国経済が直撃される可能性がある。だから日米との衝突が起きにくいように、尖閣周辺には非武装の公船しか展開していないのです」