- 『NEWSを疑え!』第354号(2014年12月8日特別号)
- ◎テクノ・アイ(Techno Eye)
・アフリカのエボラ防護具不足は米国内の買いだめが原因
(静岡県立大学グローバル地域センター特任助教・西恭之)
◎編集後記
・役人天国は終わらない(小川和久)
◎テクノ・アイ(Techno Eye):
・アフリカのエボラ防護具不足は米国内の買いだめが原因
(静岡県立大学グローバル地域センター特任助教・西恭之)
西アフリカで感染拡大が続くエボラ出血熱用の個人防護具2万着を運ぶため、航空自衛隊のKC-767空中給油輸送機が12月6日、小牧基地(愛知県)からガーナの首都アクラへ向かった。国連エボラ緊急対応ミッション(UNMEER)が11月26日、防護具の迅速・確実な輸送を日本政府に要請したことを受けたもので、8日にアクラで防護具を引き渡し、11日に小牧基地に帰着する計画だ。
KC-767空中給油輸送機(12月6日、空自撮影)
日本政府は今後70万着の供与を予定しており、残りの68万着は民間機で輸送される。横浜市は、アフリカ開発会議(TICAD)が2回開催された関係もあり、新型インフルエンザ用に備蓄していた防護具3万着を、リベリアとシエラレオネに無償提供することになった。
国連の要請の背景には、防護具の一大生産国である米国で、エボラ出血熱患者の国内発生に備えるため、防護具を買いだめする動きが広がり、品不足となっている事情がある。米国の官公庁や医療機関が、少数の患者の入国と国内発生に過敏に反応しているため、西アフリカでエボラ出血熱の元を断つ取り組みが遅れる結果となっているのだ。
米国におけるエボラ出血熱による死者は2人にとどまっている。9月20日に入国したリベリア人男性が、テキサス州ダラスで誤診された後、30日にエボラ出血熱と診断され、10月8日に死亡したケースと、米国永住権をもつシエラレオネ人男性医師が11月17日、搬送先のネブラスカ大学病院で死亡したケースである。このリベリア人男性を診療後にエボラ出血熱を発症した看護師など、米国における他の患者は、全員完治している。