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『NEWSを疑え!』第364号(2015年1月22日号)【最新号】

『NEWSを疑え!』第364号(2015年1月22日号)
◎ストラテジック・アイ(Strategic Eye)
◇◆旧日本軍化学兵器処理に見る日本外交
◆中国戦線で催涙剤やクシャミ剤を
◆「遺棄」の表現は外交的失策
◆積極的平和主義のテーマとして扱う
◎セキュリティ・アイ(Security Eye)
・「イスラム国」をピンハネする悪い奴ら
(静岡県立大学グローバル地域センター特任助教・西恭之)
◎ミリタリー・アイ(Military Eye)
・拉致を防ぐ死のハンニバル指令(西恭之)
◎編集後記
・公明党の役割は大きかった

◎編集後記

・公明党の役割は大きかった

 昨年12月20日に出版した拙著『日本人が知らない集団的自衛権』(文春新書)に、「『歯止め』としての集団的自衛権」という章(第5章)を設けました。

 それというのも、昨年7月1日の集団的自衛権の限定的行使容認の閣議決定について、マスコミから次のような懸念が表明されたからです。

 例えば、東京新聞の見出しはこんな具合でした。

戦争の歯止め、あいまい 集団的自衛権 安倍内閣が決定〉(7月2日朝刊)
歯止め策懸念73% 集団的自衛権 54%反対〉(7月3日朝刊)

 これに対して、私は湾岸危機におけるベーカー米国務長官の事例を紹介し、むしろ集団的自衛権はある国が軍事的に暴走したり突出することに対する抑制効果を備えており、これこそ「歯止め」ではないかと書きました。

 ベーカー国務長官は湾岸戦争への協力を引き出すため、同盟国やアラブ諸国の首脳に要請を重ねたわけですが、日本以外の国は例外なく「ノー」を連発し、米国の要求を値切り倒したのです。その結果、米国の行動は思うがままに行動することに比べて半分くらいのレベルに抑制されたのです。異論をはさむことなく米国に130億ドル(当時のレートで1兆6500億円)を提供したのは日本だけでしたが、ベーカー回顧録ではたった1行半の記述と、軽く扱われるはめになりました。

 同僚の西恭之氏(静岡県立大学グローバル地域センター特任助教)の次の内容のコメントも紹介しました。

 ドイツは旧西ドイツの段階で再軍備をしたときから、一貫して個別的自衛権の単独行使、すなわち軍事的な単独行動を封じられ、ドイツの安全はNATO(北大西洋条約機構)諸国による集団的自衛権によって担保されてきたというものです。

 いずれも、日本の官僚や学者が知らなかった集団的自衛権の姿です。

 そんなことを復習的に考えていたら、次のような考えが頭をよぎりました。

 集団的自衛権行使容認に関する連立与党・公明党の姿も、国益を前面に出して米国に「ノー」を突きつけた湾岸危機当時の同盟国と同じだと考えてよいのではないか…。

 一貫して「平和の党」の看板を掲げてきた公明党は、ややもすれば前のめりになりがちの安倍晋三政権の姿勢にブレーキをかけ、結果的に「限定行使容認」という着地点に導きました。

 その結果、日本の集団的自衛権行使に制約が生じたことは否定できませんが、その与党・公明党を説得し、望ましい形に近づける力を磨くという課題を自民党に負わせた意味は小さくないと思います。

 これこそ、湾岸危機で抵抗したNATOの同盟国に対して、それ以来、米国が一貫して同盟関係維持のために注力してきたことにほかならないからです。

 小難しい言葉で自衛権を語るよりも、身近に具体例がいくらでもある政党や社内派閥を例に考えてみるのは、意外と理解を深めるうえで大事ではないかと思いました。

(小川和久)