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『NEWSを疑え!』第366号(2015年1月29日号)

『NEWSを疑え!』第366号(2015年1月29日号)
◎ストラテジック・アイ(Strategic Eye)
◇◆「大阪ジャーナリズム」とは
◆『黒田軍団』は輝いていたが
◆安全保障は情緒的平和主義
◆大阪ジャーナリズムの功罪を直視せよ
◎セキュリティ・アイ(Security Eye)
・米政府は機密漏洩でも有力者を優遇
(静岡県立大学グローバル地域センター特任助教・西恭之)
◎ミリタリー・アイ(Military Eye)
「エアシーバトル」の名前が変わった!(西恭之)
◎編集後記
・会見場のイスラエル国旗を外せとは…

◎編集後記

・会見場のイスラエル国旗を外せとは…

 「イスラム国」人質事件をめぐる報道で、違和感を覚えざるを得ないものが少なくありません。

 例えば、事件発生直後に安倍首相がエルサレムで記者会見し、中東諸国首脳と会談や電話会談を行ったこと、親イスラエルロビーの中心に位置する中山泰秀外務副大臣を現地対策本部長としてヨルダンに派遣したこと、に対する批判です。

 私は1月26日号の編集後記で、それは現実の外交を知らないがゆえの一般論でしかなく、むしろ安倍首相に率いられる「チーム安倍」は各国首脳と連携して事態の処理に取り組んでいるとご説明しました。

 前号では触れられなかったので、今回は「イスラエル国旗問題」について書きます。安倍首相への批判のひとつが、イスラエル国旗の前で記者会見をしたことに集中しているからです。

 例えば、1月23日の『日刊ゲンダイ』は次のように書きました。

「『卑劣なテロはいかなる理由でも許されない。断固として非難する』──。事件後、安倍首相はエルサレムで行った緊急会見でこう強調していたが、会見映像を見て驚いた人は多かっただろう。背景に白地に青い六芒星のイスラエル国旗が掲げてあったからだ。

 イスラエルは、イスラム世界で敵視されている。そのイスラエルに日本の軍需産業の幹部を引き連れて訪問しただけでなく、国旗の前で戦う姿勢を示したのだ。『イスラム国』だけでなく、イスラム世界全体にケンカを売ったのも同然だろう」

 こうした報道を受けて、ネット上を中心に「イスラエル国旗を引っ込めさせてから記者会見すべきだった」といった声が飛び交いました。

 このメルマガの読者諸賢はおわかりだと思いますが、これは国際政治を「イスラエル対中東諸国」という一面からしか見ていない、非常に視野の狭い意見です。

 安倍首相がエルサレムから中東諸国の首相と電話会談をしたことを見ても明らかなように、これは先方の了解のもとの電話会談なのです。イスラエルと情報共有を表明している安倍首相に反発しているのなら、中東諸国の首脳は電話会談を断っていたでしょう。中東諸国としても、歴史的背景をもつイスラエルとの関係を自国に有利な形で改善していくことにもまして、「イスラム国」という「いまそこにある危機」への対処が優先するからこそ、電話会談に応じたわけです。

 これを見てもわかるように、中東諸国を含む国際社会が一丸となって「イスラム国」の脅威を取り除こうとする意思が表明されたわけですから、この記者会見に反発するのは「イスラム国」と支持者だけのはずです。安倍首相に批判的であるにせよ、日本の世論は「イスラム国」を支持しているわけではないでしょう。

 それに、「イスラエルの国旗を引っ込めさせろ」というのも、国際常識を踏まえない議論です。訪問国における記者会見は、両国の国旗を背景に行うのが慣例となっているからです。

 仮に中東諸国とイスラエルが険悪な状態になっているとき、日本の首相が中東諸国を訪問した場合でも、それは同じです。中東の国の国旗を背景に記者会見する日本の首相を、それを理由にイスラエルが非難することはありません。

 そう遠くない将来、尖閣諸島問題を抱える中国と首脳会談が行われ、それを受けた記者会見が行われるときも、日中両国の国旗にはさまれて両国首脳の会見は行われるのです。

 今回は、前号で舌足らずになった部分を書かせていただきました。

(小川和久)