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『NEWSを疑え!』第378号(2015年3月12日号)

『NEWSを疑え!』第378号(2015年3月12日号)
◎ストラテジック・アイ(Strategic Eye)
◇◆データが教える沖縄米軍基地
◆地主数と賃借料は…
◆基地経済は続く
◆米海兵隊サイトはアピールする
◎セキュリティ・アイ(Security Eye)
・ウクライナは今後も西側の重荷
(静岡県立大学グローバル地域センター特任助教・西恭之)
◎ミリタリー・アイ(Military Eye)
・「天声人語」も歴史的事実を誤認(西恭之)
◎編集後記
・いまこそ『オペレーション希望』を

◎編集後記

・いまこそ『オペレーション希望』を

 4年前の2011年3月11日午後2時46分、私は連続4年目となるI(部内選抜)課程の卒業記念講演のため、福岡県久留米市の陸上自衛隊幹部候補生学校の大講堂の壇上にいました。

 話し始めて30分あまり。学校長の森山尚直陸将補(現・防衛大学校幹事)が壇上に駆け上がってきて、大判のスケッチブックを頭上に掲げました。そこには、にわかには信じがたい文字が躍っていました。

東北地方で地震。震度7

 講演を聴いている卒業生の中には、東北地方出身者や東北の部隊で勤務している人も少なくありません。みな沈痛な面持ちです。私は、新しい情報が入り次第伝えると前置きし、講演を続けました。

 講演が終わった午後4時15分、学校長室には自衛隊の部隊が続々と東北地方を目指して前進し始めている様子が、次々に伝えられていました。

 それからの18時間ほど、東京に戻ろうにも空の便は止まり、電話も通じないなかで、かろうじてTwitterで連絡を取りながら、テレビの画面で押し寄せる大津波や炎上する気仙沼の街の様子などを、それこそ歯ぎしりしながら眺めるしかありませんでした。

 それから2週間後、私はメルマガ『NEWSを疑え!』を創刊し、そこに次の内容を記しました。

◎頭脳なき国家・日本――司令塔不在が天災を人災にする
・官僚丸投げが司令塔の不在を生んだ
・地震発生後3時間で実行すべき危機管理はこれだ
・危機管理の要諦は「拙速」。人災は「巧遅」から生まれる

 それから4年たって、危機管理のスピードは少しは上がっていると思いますが、まだまだ十分とは言えないレベルに終始しています。

 創刊第2号(2011年4月1日号)では、私は復興に向けての提言を行いました。
◎政府は認識すべし――『希望』の創出こそ復興の原動力だ
・ 自衛隊、消防、警察、海保の第一線――心のケアが必要な段階に
見捨てられた避難所
子どもたちの未来は、大人の精神的安定で決まる

 3月31日には、ほぼ同じ内容で、政府の復興構想会議の議長代理に就任した御厨貴東大教授と1時間半にわたってテレビ対談を行いました。

 震災4年のマスコミの特集から思い知らされたのは、被災地から希望が失われつつあるという懸念したとおりの展開でした。これからでも有効だと思いますし、今後の大災害時には必ず実行に移してもらうために、創刊第2号のうち「子どもたちの未来は、大人の精神的安定で決まる」の部分をご紹介しておきたいと思います。

 このとき、私は『オペレーション希望』を提案しました。

 やはり大人たちが『希望』を抱いていないと、復興に向けて歩もうにも元気が出ない。大人が前向きに生きていなければ、子どもたちが明るく育つわけがない。『オペレーション希望』は子供たちの未来を切り開くための取り組みなのです。

 巨大地震の惨禍から再生した日本を、より素晴らしい国にしていくのは子どもたちです。厳しい復興途上の生活であろうとも、大人たちが安定した精神状態を保ち、笑顔でいないと、子どもたちも不安になる。それが良い結果につながるわけがありません。『オペレーション希望』は、単なる復興計画を超えた展望のもと、まずは大人が『希望』を失わないようにする5カ年計画として考えました。貧しくとも普通の生活をしてもらえるようにするというわけです。

 具体的には、対象は自宅や事業所を失った被災者のすべてとし、5年間にわたって生活費を支給します。最低限度の生活を目標にしているという生活保護の水準を参考に、18歳以上が月額12万円、18歳未満5万円くらいでしょうか。大人ばかり4人家族なら月額48万円になる。これなら、住居が無料や低家賃であれば、生活するだけでなく再起のための活動も少しはできるようになるでしょう。希望を失わないために必要なことは、再起に向けた手がかり、足がかりですから。

 そして、仮設住宅より広い間取りの大型集合住宅を建設し、被災地のみなさんには集団移転をしてもらいます。居住地は再起していくための仕事の場所の近くとします。医療、教育、福祉関係については原則5年間無料とします。

 仕事に関しては、農業に従事されていた方々には集団農場を整備し、再出発の基盤を作っていただく。漁業は再建された港へ集合住宅から通えるように配慮する。商業は集団農場、漁港、集合住宅などに隣接する商業団地で活動を開始する。職場を失った勤労者については、そういった職場に就職を斡旋するというものです。

 そのようにして生活基盤を固め、1~2年をメドに次の段階へと展開していくのです。

 大災害直後に政府がやるべきことは、『オペレーション希望』のような、誰もが『希望』を失わずに済む具体的な施策です。

 官僚に任せると、キリがないからといって反対するでしょう。しかし、キリがないほどの支出が必要とされるときに無理を言う国民はいません。困ったときに頼りになる政府でなくして、なんであろうかということです。明日は我が身。被災していない国民の多くも賛成するはずです。

 被災者が希望を失うことは、日本全体の衰亡を意味しています。いまこそ、このような構想を実現してほしいと思います。

(小川和久)