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『NEWSを疑え!』第382号(2015年3月26日号)

『NEWSを疑え!』第382号(2015年3月26日号)
◎ストラテジック・アイ(Strategic Eye)
◇◆静かに進むNCWの時代
◆既に民間企業のサイトに掲載
◆F35戦闘機とNCW
◆戦車も巡航ミサイルもリンクする
◎セキュリティ・アイ(Security Eye)
・CIAはイランの核開発をガセネタで妨害しようとしたが
(静岡県立大学グローバル地域センター特任助教・西恭之)
◎ミリタリー・アイ(Military Eye)
・米陸軍に攻撃ヘリと無人機の混成部隊(西恭之)
◎編集後記
・大越キャスターの「宿題」

◎編集後記

・大越キャスターの「宿題」

 NHK「ニュースウォッチ9(NW9)」の大越健介キャスターが降板するようです。

 2010年3月末からですから、そろそろ次にバトンタッチの時期でもありますが、一方では安倍政権側にとって気に入らない態度が少なくなかったのが降板の理由、とも囁かれています。

 大越キャスターは、特に自民党の野中広務元幹事長が誕生祝いの食事会をするほど目をかけていた政治記者の一人で、しばしば政治家に向いていると聞かされたものです。

 野中さんと親しく仕事をした立場からすれば、それほど評価された大越キャスターの前途が明るいものであってほしいと思わずにはいられませんが、ひとつだけ「宿題」があることは忘れないでほしいと思っています。

 それは、米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイについて、「危険な航空機」という印象を振りまいたのがNW9であり、その総括をどこかでしてもらいたいということです。

 少なくとも、日本到着から2年9カ月になろうというのに、重大事故が発生していないのはなぜか、米国内でも安全な航空機として表彰されたりしている理由はなにか、それを検証し、視聴者に伝える責任があると思います。

 2012年夏、NW9が私の電話による説明を誤って放送し、それに対して大越キャスターが反発するコメントをしたことがありました。

 軍事問題について基礎知識のないスタッフに対して、米軍にとってのオスプレイ導入は会社のライトバンが古くなったから新車に更新するのと同じ位置づけだと説明したのを、そのまま私のコメントとして放送してしまったのですが、正義感の強い大越キャスターは「オスプレイとライトバンを一緒にするとは何事か」と反発したのでした。

 これは明らかにNHK側のミスで、私はすかさずツイッターで問題点を指摘し、それを読んだNW9のチーフプロデューサーから連絡があり、再取材するという展開になりましたが、そのとき、あまりにお粗末な「楽屋裏」を見せつけられ、オスプレイの危険性に関するNW9の報道は罪深いと思い続けることになったのです。

 NW9の女性ディレクターは、初飛行から2年後に、それも配線ミスというオスプレイ固有の事故ではないトラブルでぐらぐら左右に揺れながら不時着する映像を見せながら、「これでも危険ではないというのですか」と迫ってきたのです。

 私は、配線ミスの事故はどの航空機でも起こり得るものでオスプレイに固有のものではないこと、危険な航空機を正式に導入し、実戦配備することはないことなど、航空機開発の流れに沿って説明した訳ですが、ディレクターは納得できない様子でした。

 この映像が繰り返し放映され、「オスプレイは危険な航空機」という印象をまき散らしたことは、NW9の影響力の大きさからいっても、間違いないところです。

 しかし、重大事故は起きていません。

 大越キャスターはNW9を卒業するにあたり、番組を挙げて危険だと考えた理由について総括し、視聴者の誤解を解く必要があるのではないでしょうか。それがジャーナリストとしての責任の取り方ではないかと思います。

(小川和久)