- 『NEWSを疑え!』第513号(2016年8月15日特別号)
- ◎テクノ・アイ(Techno Eye)
・温暖化でグリーンランドの旧米軍基地から汚染物質が流出する
(静岡県立大学グローバル地域センター特任助教・西恭之)
◎編集後記
・安倍さんは「深謀遠慮」の人(小川和久)
◇◆ 温暖化でグリーンランドの旧米軍基地から汚染物質が流出する
この8月4日、米軍がグリーンランドに放棄した基地の汚染物質が今世紀末、地球温暖化によって流出・露出が始まるとする論文が発表され、世界の専門家の注目を集めている。論文はアメリカ地球物理学連合の学術誌『ジオフィジカル・リサーチ・レターズ』の次号掲載用で、「放棄されたグリーンランド氷床基地キャンプ・センチュリーと気候温暖化」。カナダ・ヨーク大学のウィリアム・コルガン助教ら欧米の雪氷学者6人が執筆している。
米軍はグリーンランド北西部の氷床の下に、キャンプ・センチュリーという基地を1959年に建設したが、わずか8年後の67年に、建設資材とディーゼル燃料、ポリ塩化ビフェニル(PCB)や原子炉冷却水などの汚染物質を残して基地を放棄した。論文は、今世紀末から温暖化によって氷床が融解し、この汚染物質の流出・露出が始まることに警鐘を鳴らしている。
米ソが原爆と長距離爆撃機を保有すると、両国の間に位置するグリーンランドは、米国の防空と核戦力の拠点となった。米国と領有国のデンマークは1951年、北極点から1500キロに位置する村を移転させ、跡地に米空軍チューレ基地を建設した。
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(小川和久)