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『NEWSを疑え!』第6号(2011年4月21日号)

『NEWSを疑え!』第6号(2011年4月21日号)
◎陸上自衛隊の人員は十分か?──その適正規模を大震災から考える
・部隊増強と逐次投入は異なる。キメ細かい情報収集には課題も
・自衛隊員の士気は旺盛。問題はPTSDよりクライマーズ・ハイ
・陸自の適正規模は25万人。国民の安全のために正面から議論を
◎セキュリティ・アイ:原発事故とお粗末な日本のリスク・コミュニケーション(主任研究員・西恭之)
◎ミリタリー・アイ:ジャスミン革命に手を貸す米空軍の電子戦機(主任研究員・西恭之)
◎今週の言葉:軍隊、自衛隊、適正
◎編集後記:

ストラテジック・アイ(Strategic Eye):

◇◆陸上自衛隊の人員は十分か?──その適正規模を大震災から考える◆◇

国際変動研究所理事長 軍事アナリスト 小川和久

Q:自衛隊が、東日本大震災の救助、救援、捜索、復旧・復興支援などに大活躍しています。北澤俊美防衛大臣が3月11日の夕方から夜にかけて、大規模震災災害派遣命令、原子力災害派遣命令を相次いで発したときは、自衛隊員約8000名、航空機約300機、艦艇約40隻が既に派遣中または派遣準備中でした。その後、自衛隊は続々と増強されていき、現時点(4月半ば)では災害派遣として過去に例がない10万人規模の隊員が活動中です。ところで、自衛隊の定員は24万7746人、現員は22万9357人(2010年3月31日現在)ですから、半分近い人数が大震災に関係する活動に割かれているわけです。すると当然、自衛隊本来の役割である国防はどうなっているのか、相当程度に「大きな穴」が開いている状態ではないのか、という疑問もわきます。今回は小川さんに、そのあたりはどうなっているのか、大震災をきっかけに自衛隊の適正規模を考える必要があるのではないか、という問題についてお話しいただきたいと思います。

小川:「東日本大震災は、確認された死者・行方不明者だけでも3万人に近く、犠牲者の数を見ても被災地域の広がりを見ても、戦後最大・最悪の自然災害といわれた1995年の阪神・淡路大震災とはケタ違いの巨大災害です。これは、巨大地震や大津波という自然を相手に未曽有の『戦争』が勃発したのだ、と考えなければなりません。しかも、福島第1原発事故という難題が同時に発生した複合災害です。現時点で10万5700人の自衛隊員が動員されているのは、当然のことです。なかでも陸上自衛隊については7万人と、現員14万536人の半数が投入されています」

「これだけの人数が割かれることは、自衛隊にとってほぼ手一杯で、ほとんど身動きが取れない状態であることも事実です。幸いにして同盟国アメリカはもちろん、中国、ロシアという近隣二大国が、日本に対する支援を惜しまない姿勢をいち早く打ち出しました。混乱に乗じて日本に悪さをするような動きは封じられています。自衛隊も国防に必要な最低限の人員は残していますから、各国との相互依存関係のなかで、日本の国家・社会の安全を図るシステムは機能し続けていると言えます」

「しかし、この状況は望ましいものではありません。『日本の戦争力』などで私が繰り返し指摘してきたように、アメリカは日本列島に、西太平洋からインド洋、ペルシア湾までをカバーするパワープロジェクション(戦力投射)能力を置き、日本列島を戦略的根拠地としています。その根拠地を防衛する自衛隊の能力が殺がれることは、中東、北朝鮮という発火点を睨み、中国などの過度の台頭を抑えようとするアメリカの世界戦略にも影響してしまいます」

Q:なるほど。「オペレーション・TOMODACHI」を発動し、原発事故でも「できることは何でもする」と言うアメリカは、ただ親しい友人を助けるというだけでなく、東日本大震災で日本がガタガタになれば、世界のリーダーの座すら揺らぎかねず、国益を大きく損ねてしまうという強い危機感を抱いているのですね?