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『NEWSを疑え!』第15号(2011年5月23日特別号)

『NEWSを疑え!』第15号(2011年5月23日特別号)
◎セキュリティ・アイ(加筆版):中国が尖閣周辺で勝手放題に動くのは日本の失政の結果だ
(主任研究員・西恭之)
◎ミリタリー・アイ(加筆版):空母キラー・中国の対艦弾道ミサイルは本当に脅威か
(主任研究員・西恭之)
◎編集後記:北朝鮮は10年以内に消滅?

セキュリティ・アイ(Security Eye):

◇◆中国が尖閣周辺で勝手放題に動くのは日本の失政の結果だ(主任研究員・西恭之)

 尖閣諸島領海での中国漁船衝突事件以来、周辺海域で執拗に示威航行する中国の漁業監視船調査船に日本国民の怒りが高まっているが、日本側の国際法規に対する理解不足法制度不備の間隙を狙い澄ましてのものだということは、意外に語られることはない。

 結論から言うなら、絶対に日本は中国土俵に乗せられてはならない。

 中国政府の艦船が日本領海を侵犯し、直ちに退去しない場合、必ずと言ってよいほど海上保安庁実力行使を期待する声が上がる。巡視船で不可能なら、海上自衛隊の護衛艦を出動させるべきだとする声も根強い。

 しかしながら、そのような強硬策は日本が立場を主張する際の根拠(条約、法律)と矛盾し、結果として日本国益損ねることになる。特に法制度に関する以下の点は、押さえておくべきだろう。

 1)国連海洋法条約は、「各国政府非商業的目的のために運航する船舶」に軍艦なみ治外法権を与えている。この種の船舶が、領海内無害通航に関する規則に違反しても、沿岸国は退去要求し、損害賠償を所属国に求めることしかできない。中国の漁業監視船や調査船のケースはこれに該当する。

 2)「領海等における外国船舶の航行に関する法律」も国連海洋法条約に準拠し、「軍艦及び各国政府が所有し又は運航する船舶であって非商業的目的のみに使用されるもの」を適用から除外している。

 3)現行の日中漁業協定は、北緯27度以南の東シナ海の日本EEZについて棚上げしており、この海域で中国が自国漁船を取り締まる権利を否定していない。中国の漁業監視船は、これを根拠に行動することができる。

 4)日本政府はこの海域を「EZ漁業法特例対象海域」に指定し、中国漁船に対して漁業関係法令を適用していない。中国漁船もまた、これを根拠として操業している。

 日本国民として非常に残念なことだが、中国政府には「自国の漁業監視船の活動を日本容認している」と主張するだけの根拠がある、と考えるのが国際法的にも自然なのである。

 この現実を、日本国民はほとんど伝えられていない。政府国会意識も高いとは言えず、マスコミも政府情報の報道を出ることは少ない。それもあって、中国政府の船が尖閣諸島に近づくたびに日本のナショナリズムくすぶることになり、世論に煽られた政府はややもすれば中国土俵乗せられそうな危うい状態が続いている。