『NEWSを疑え!』は有料メールマガジンコンテンツです。バックナンバーは会員登録をされた方のみ読む事が出来ます。
  • 会員登録をされていない方は「購読する」ボタンより購読手続きを行って下さい。
  • 購読する

  • 会員の方は枚ページログイン後「バックナンバーを読む」ボタンよりお読みいただけます。
  • バックナンバーを読む

『NEWSを疑え!』第17号(2011年5月30日特別号)

『NEWSを疑え!』第17号(2011年5月30日特別号)
◎セキュリティ・アイ(加筆版):またも日本不在?——北極海の資源と海運をめぐる国際競争(主任研究員・西恭之)
◎ミリタリー・アイ(加筆版):米軍は脱石油に急加速中(主任研究員・西恭之)
◎編集後記:最近、不思議に思うこと

セキュリティ・アイ(Security Eye):

◇◆またも日本不在?——北極海の資源と海運をめぐる国際競争(主任研究員・西恭之)

 2020年代以後の世界のエネルギー海運の動向を左右する北極評議会8ヶ国外相会議が5月12日、グリーンランドで開かれた。

 北極評議会が設立されて15年目の今回、法的拘束力を持つ初めての条約「北極圏における航空・海上の捜索救助に関する協定」が締結された。

 協定では、アイスランド周辺を除いた北極海の大部分について、北極点を中心に大小5つの扇形に分割し、ロシア・米国・カナダ・デンマーク・ノルウェーが捜索救助を分担、スウェーデンとフィンランドは自国領域で捜索救助を行なうことが取り決められた。

 同時に、捜索救助にあたって各国の領域における主権、排他的経済水域大陸棚での主権的権利、および船舶等に対する管轄権には影響を及ぼさないことが明記された。

 もともと北極海では、各国の国益上の主張が衝突し合いながら、捜索救助について協力が行なわれてきた側面がある。2007年8月、ロシアが大陸棚の権利を主張する目的で北極点の海底に国旗を立て、カナダとデンマークの反発を招いたことなど象徴的だろう。

 そのロシアも、今回は米国とともに捜索救助協定を主導する立場で行動した。地球温暖化によって、重要な資源輸送ルートとして期待される北極海航路の開発が、待ったなしの状態になっているからである。

 これまで、北極海航路は東アジアからヨーロッパ北米東海岸への最短ルートとして、その可能性が議論されてきた。

 そこにおいては、海運の拡大を見込めるのは大西洋に続くバレンツ海シュトクマン・ガス田グリーンランド沖の油田開発に関連した航路だとされてきた。他方、大西洋太平洋を結ぶ航路結氷などの理由から商業利用が展望されず、積極論が前面に出ることはなかった。ところが、北極圏の環境に深刻な影響を及ぼすとされてきた地球温暖化によって新たな航路の可能性が浮上するという、皮肉な展開となっている。

 商業利用に直結する大西洋と太平洋を結ぶ航路については、ロシア北部沿岸を通る北東航路(単に北極海航路とも呼ぶ)のほうが、カナダ北極諸島を通る北西航路より可能性を秘めている。

 具体例で示すと、横浜・ロッテルダム(オランダ)はスエズ運河経由で2万700キロだが、北東航路だと30%短い1万4500キロで済む。北西航路の場合は、北大西洋横断を含む1万4800キロの航海が必要となる。