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『NEWSを疑え!』第18号(2011年6月2日号)

『NEWSを疑え!』第18号(2011年6月2日号)
◎FEMA(フィーマ)を知っていますか?──司令塔不在の大震災・原発危機
・1990年代、ひときわ輝いていた米国の司令塔
・日本版FEMAを考える
・緊急時には縦割りを調整、平時は調査研究と教育訓練
◎セキュリティ・アイ:国民の被曝に対する米政府の責任の取り方(主任研究員・西恭之)
◎ミリタリー・アイ:米国の長距離無人攻撃機の目標は中国本土と台湾海峡(主任研究員・西恭之)
◎今週の言葉:ネバダ核実験場
◎編集後記:FEMAと言えば……

ストラテジック・アイ(Strategic Eye):

◇◆FEMA(フィーマ)を知っていますか?──司令塔不在の大震災・原発危機◆◇

国際変動研究所理事長 軍事アナリスト 小川和久

Q:3月11日の東日本大震災から80日以上が経過しました。壊滅的な被害を受けた東北3県の沿岸部では、依然として水道、電気、ガスなどのライフラインが復旧していません福島第1原発の大事故も、大量の汚染水に阻まれて事態収束のメドが立たない状況です。政府や東京電力の対応は後手を踏むことの連続ですし、首相官邸を巻き込んで「原子炉への海水注入を中断するよう命じた」「そんなことは言っていない」などとモメる始末で、司令塔不在もよいところです。小川さんが強く提案されてきた日本版FEMAがあれば、と思うことしきりです。今回は、FEMAについて解説してください。

小川:「アメリカFEMA(『フィーマ』と読む)は、正式には『Federal Emergency Management Agency』といい、連邦危機管理庁または連邦緊急事態管理庁と訳します。ワシントンに本部を置き、常勤職員3700人、待機要員4000人全米10カ所の地域事務所のうち6カ所は常勤職員100-150人、待機要員363-500人です。連邦政府内で危機管理行政を一元的調整する機関で、カーター大統領の下で1979年7月に発足しました。発足のきっかけになったのは、1979年3月のスリーマイル島原発事故です。このとき連邦政府や州政府、市などの対応が遅かったという批判が噴出しました。その反省から、消防庁、連邦保険庁、民間防衛準備庁、連邦災害援助庁、連邦有事準備局という防災関係機関統合して設立されたのがFEMAです」

「ところが1992年8月、フロリダ州やルイジアナ州をハリケーン・アンドリューが襲ったとき、FEMAは初動対応が遅れて批判にさらされました。フロリダ州だけで25万人が家を失いましたが、FEMAは避難所の提供にも保険会社救済にも失敗するという惨憺たる状態でした。原因の第1は、冷戦終結後の1992年の段階でも、FEMAの予算の大部分は全面核戦争に対する民間防衛が目的となっており、災害対策手薄だったこと、第2は、当時のスティックニー長官以下、専門家でない政治任用者が、米国の他の官庁と比べても多くのポストを占めていたことです。そこでクリントン政権発足直後の1993年、FEMA抜本的な組織改革をおこなって機能強化に努めることになりました」