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『NEWSを疑え!』第27号(2011年7月4日特別号)

『NEWSを疑え!』第27号(2011年7月4日特別号)
◎セキュリティ・アイ(加筆版):ロシアと中国に買われるギリシャ国有企業(主任研究員・西恭之)
◎ミリタリー・アイ(加筆版):米国の「軍事における革命」は成熟したか(主任研究員・西恭之)
◎編集後記:救急たらい回しの日本に巨大災害、原発事故は無理

セキュリティ・アイ(Security Eye):

◇◆ロシアと中国に買われるギリシャ国有企業(主任研究員・西恭之)

 債務危機に苦しむギリシャの国会は7月1日、2015年までに合計280億ドル(3.3兆円)の増税と歳出削減を行ない、国有財産500億ユーロ(5.8兆円)を売却する内容の法案を僅差で可決した。法案成立は欧州連合(EU)・欧州中央銀行(ECB)・国際通貨基金(IMF)による追加支援の条件であり、もし可決されなかった場合、ギリシャ政府は7月中旬に業務を停止するおそれがあった。

 ギリシャ政府が売却を迫られている財産は、リゾート地の不動産、公営競技会社、国有航空宇宙メーカーなど様々だが、外資が熱い視線を注いでいるのは、特にエネルギー・交通・通信のインフラ企業である。

 買い手にとって、投げ売りされる一国のインフラを買うメリットは、使用料収入を生む資産を安く買えることにとどまらない。外国企業の買収が本国の対外政策と連動している場合、インフラ買収は第三国への影響力拡大の布石になり得るのだ。そうした戦略的視点に立って、ロシアと中国の対外政策の専門家は、ギリシャのガスパイプラインと港湾に注目している。

 既に具体的な動きを見せているロシアの準国営企業ガスプロム(天然ガスの生産・供給で世界最大手)は5月下旬、条件が合えばギリシャのガス供給会社DEPAの株式(ギリシャ政府が株の65%を直接保有)を取得したいと表明した。売却が見込まれる株は全体の32%に当たる。

 ガスプロムは昨年段階で、DEPAの販売量の80%、ギリシャの天然ガス消費量の60%を供給しているが、ガスプロムがDEPAの株式取得に関心を示しているのは、単にギリシャ市場だけを考えてのことではない。カスピ海方面の天然ガスを欧州に送るパイプラインはロシアかギリシャを通っており、DEPAの株式を取得すれば、欧州向けパイプラインをギリシャの地でも完全に支配できるようになるからだ。

 5月16日号では、日本の原発事故を受けたドイツの脱原発への動きと同時進行の形で、バルト海を縦断するノルドストリーム・パイプラインが開通する見込みであり、ロシアの天然ガスに対するドイツの依存が強まる見通しを紹介した。

 当然ながら、欧州諸国はドイツと同様の事態に陥るのを恐れ、アゼルバイジャンやトルクメニスタンのガスをロシア経由ではないルートで輸入する方法を、かなり前から模索してきた。

 アゼルバイジャン最大のシャーデニス・ガス田は、首都バクーの70キロ沖にあるが、そこからグルジアを経由してトルコ東部に至る南コーカサス・パイプラインがまず2006年に開通した。翌年には、トルコ北西部のアジア側からギリシャ北東部までのトルコ・ギリシャ・パイプラインが、トルコ国有企業ボタシュとDEPAが分担する形で開通した。

 これに続いてギリシャ北部を横断し、イオニア海を渡るギリシャ・イタリア・パイプラインは、陸上部分はDEPA、海底部分はDEPAとイタリアのエジソン社の合弁企業(IGIポセイドン)によって、2015年までに敷設される計画だ。