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『NEWSを疑え!』第37号(2011年8月8日特別号)

『NEWSを疑え!』第37号(2011年8月8日特別号)
◎セキュリティ・アイ:軍人が断固反対する韓国の核武装論(主任研究員・西恭之)
◎ミリタリー・アイ:国防費に大ナタ。米空母部隊は9個に縮小される(主任研究員・西恭之)
◎編集後記:国会中継を観る時は、椅子にご注目!

セキュリティ・アイ(Security Eye):

軍人が断固反対する韓国の核武装論(主任研究員・西恭之)

 韓国内に根強い核武装論が韓国のエネルギー政策の前途に暗い影を落としている。

 韓国は現在、消費電力の45%を原子力に依存しており、東日本大震災後も原子炉増設と海外への原発輸出の動きを止めていない。原子力発電所から出る使用済核燃料を再処理し、そこからプルトニウムを取り出す核燃料サイクルによってエネルギーの自給率を上げたいというのが、資源小国・韓国の官民を問わない願望となっている。

 1978年に送電を開始した釜山の古里原発をはじめ、月城原発(慶尚北道の日本海沿岸)、蔚珍原発(同)、霊光原発(全羅南道の黄海沿岸)の合計20基の原子炉から運び出された使用済核燃料は1万トンに上る。韓国内の貯蔵施設は2016年にも満杯になると予測される。核燃料サイクルを稼働させる条件は整っていると言ってよい状態だ。

 核燃料サイクルを実現したい韓国の前に立ちはだかっているのが、米韓原子力協定の改定問題である。現行協定は、核武装に執着する朴正煕大統領に反対する米国の強い圧力を反映して、韓国における米国製核燃料の濃縮と再処理の全てに米国の許可を必要とするとの条件のもと、1974年に40年間の有効期限で締結された。

 それにもかかわらず、韓国が国際原子力機関(IAEA)に申告しないまま韓国原子力研究院にウラン濃縮とプルトニウム分離の小規模な実験を行なわせていたことが、2004年、IAEA追加議定書を締結した際に明らかになった。

 それでも米国は2006年から、実験室レベルの再処理について韓国と協力を開始、2010年10月からは米韓原子力協定改定に向けた交渉が行なわれている。

 韓国側は軍事利用が難しい方式、具体的にはプルトニウムを他の物質と化合させたまま取り扱う乾式再処理方式を提案し、韓国も認められてしかるべきと主張している。
しかしながら、韓国側の提案にはいくつか技術的課題がある。

1) 米エネルギー省は2011年になって、過去5年間の技術の進歩によって、乾式再処理の生産物から軍事的に有用なプルトニウムを分離することが可能になっており、「乾式再処理は再処理そのもので、軍事利用が可能」との見解を示しており、韓国の軍事利用に対する警戒を緩めていない。

2) 乾式再処理で得られるプルトニウムで核兵器を作っても、混ざっているキュリウムが放つ中性子のせいで過早核爆発を起こし、本来の爆発力が発揮されないことを理由に軍事利用に適さないとされているが、過早核爆発は少量の核融合物質を加えることで防ぐことができるので、軍事利用への懸念を払拭することはできない。

3) 乾式再処理で得られるプルトニウムは熱を発しており、核兵器の耐久年数を縮めるので核兵器に適さないという問題も、核兵器の設計変更によって解決できる。