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『NEWSを疑え!』第46号(2011年9月12日特別号)

『NEWSを疑え!』第46号(2011年9月12日特別号)
◎セキュリティ・アイ:中国はインド洋への回廊を確保できるか(主任研究員・西恭之)
◎ミリタリー・アイ:F35調達で浮き彫りになる米国の緊縮財政(主任研究員・西恭之)
◎編集後記:10年前の9.11

セキュリティ・アイ(Security Eye):

中国はインド洋への回廊を確保できるか(主任研究員・西恭之)

 中国はペルシャ湾やアフリカへのオイルルートを多様化するために、インド洋へのアクセスルートをミャンマーとパキスタンに求めているが、ここにきて難問に直面することになった。

 石油を輸入する手段として、巨大タンカーが最も安上がりなのは、中国の場合も他の海運国と同じだ。1バーレル当たりの輸送費を比べると、海路は1ドルほど(サウジアラビアから寧波まで7000キロの場合)、パイプライン2ドル以上(シベリアのアンガルスクから黒竜江省まで2700キロの場合)、鉄道7ドル超(アンガルスクから満洲里まで1200キロの場合)と圧倒的に海路が安上がりなことがわかる。

 当然ながら中国としても、海上のオイルルートの安全を確保できるのであれば、大消費地から遠く、地形と気候が厳しい中国の国境地帯に石油パイプラインを設置する必要性はなくなる。

 しかし、中国は安全な海上交通を前提にオイルルートを考えられない立場にある。台湾などをめぐって米国と軍事衝突する可能性を排除できないからだ。

 これまでミリタリー・アイで取り上げてきたように、米国が中国行きタンカーを軍事力で止めようとする場合、中国は様々な海軍力の制約要因に直面することになる。

 それだけではない。中国のオイルルートに関する議論で見落とされがちだが、米国は武力を行使しなくても中国行きタンカーの大部分を止めることができる問題も立ちはだかっている。

 実を言えば、中国に石油を運んでいるタンカーの80パーセントは、日本など第3国の海運会社からリースしたものである。もし米政府が「中国にタンカーをリースしている海運会社の船は、米国に入港させない」と宣言すれば、大部分の海運会社は中国にタンカーをリースすることよりも、米国の意に従うことを選ぶだろう。

 むろん中国自身、ペルシャ湾からのオイルルートを自国の軍事力だけで確保できるとは考えていない。その中国側の自己認識は、米海軍が優勢なマラッカ海峡などの海域を回避するため、自国とインド洋との間に位置するミャンマーとパキスタンで輸送インフラ建設を積極的に進めてきたことでも明らかであろう。

 しかしながら、このミャンマーから雲南省へのルートも、パキスタンから新疆ウイグル自治区へのルートも、その行く手に民族紛争などの治安問題が立ちはだかり,中国は頭を悩ます結果となっている。

中国石油天然気集団公司(CNPC)とミャンマー石油ガス公社は2010年10月、ミャンマー西部のチャウッピュー港からマンダレー、ラシオを経てムセ・瑞麗の国境まで771キロの石油・ガスパイプラインの建設を開始した。中国側の昆明までは総延長1100キロ。総工費約20億ドルで開通は2013年の予定である。