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『NEWSを疑え!』第50号(2011年9月26日特別号)

『NEWSを疑え!』第50号(2011年9月26日特別号)
◎セキュリティ・アイ:これが北方領土奪回への理論武装だ(主任研究員・西恭之)
◎ミリタリー・アイ:米国政府が考える「オフショア・バランシング」とは(主任研究員・西恭之)
◎編集後記:沖縄のマスコミ報道

セキュリティ・アイ(Security Eye):

これが北方領土奪回への理論武装だ(主任研究員・西恭之)

 旧ソ連による北方四島の占領(1945年8月29日-9月5日)から66年が経過した。野田内閣発足の騒ぎに隠れて今年は注目を集めなかったが、ここ数年の北方領土問題は、まさに「カエルの面に小便」を絵に描いたような姿で展開してきた。

 日本の閣僚が「ロシアによる不法占拠」と非難し、そのたびにロシア政府が反発するものの、それとはお構いなしにロシアによる現地でのインフラ建設や要人訪問が進められ、日本側の抗議や非難がロシア側の政策に何らの影響も及ぼしていない構図で、事態が推移しているからである。

 日本側の「不法占拠」発言は、以下のようなものだ。

 2009年5月20日、麻生首相は「戦後60年以上を経て、今現在もなおロシアによる不法占拠が続いているということは極めて遺憾なことだ」と参議院予算委員会で答弁した。

 政権交代後の同年10月17日、前原国土交通相は、北方領土は「終戦のどさくさに紛れて(旧ソ連が)不法占拠した。そのことは言い続けなくてはいけない」と根室市で発言し、鳩山内閣は11月24日、「ロシア連邦が北方四島を不法に占拠している」とする政府答弁書を閣議決定した。

 日本としては残念と言うほかないが、そうした日本側の非難などどこ吹く風とばかりに、ロシア側による北方四島の「実効支配」は着々と進められている。

 ロシア政府は2006年、「2015年までのクリル諸島社会経済発展計画」を策定した。千島列島の人口を06年時点の1万9300人から2015年までに2万8000人に増やし、漁獲高を倍増、域内総生産を1.5倍に増やすことを目標とするもので、179億ルーブル(当時のレートで792億円)を投じて、択捉島・国後島・色丹島で水産加工場、港湾、道路、地熱発電所などの整備が進められている。

 北方領土でのインフラ整備を象徴しているのは、択捉島に建設中のブレヴェスニク空港(3400メートル滑走路)だろう。国営放送「ロシアの声」は2010年12月、「2012年11月にウラジオストクで開かれる予定のアジア太平洋経済協力(APEC)サミットまでに、(同空港を中心とする)択捉島および国後島におけるすべてのインフラ整備は終了する予定」と伝えた。

 無策に終始している日本側にとどめを刺すかのように、メドベージェフ大統領は2010年11月1日、訪問した国後島で、北方四島がロシアの領土であるという立場を繰り返した。

 このような北方領土の現状だが、日本国民は、これがまぎれもなく国際法違反の事態であることを胸に刻み付けておかなければならない。