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『NEWSを疑え!』第60号(2011年10月31日特別号)

『NEWSを疑え!』第60号(2011年10月31日特別号)
◎セキュリティ・アイ:日本が見倣うべきカナダの北極海戦略(主任研究員・西恭之)
◎ミリタリー・アイ:グリーンベレーがウガンダに築いた橋頭堡(主任研究員・西恭之)
◎編集後記:中国軍に約束違反を指摘したら…。

セキュリティ・アイ(Security Eye):

日本が見倣うべきカナダの北極海戦略(主任研究員・西恭之)

 カナダ政府は10月19日、海軍の戦闘艦21隻と海軍・沿岸警備隊の非戦闘艦船7隻という、カナダ史上最大の建造計画の入札結果を発表した。この「国家造船調達戦略」は、政府全体の「北方戦略」と「カナダ第1国防戦略」の手段として位置付けられており、米露など各国による北極海の航路と資源の利用に対する、沿岸国としての備えとして注目される。

 カナダは大西洋・北極海・太平洋に面しており、世界一長い海岸線を有している。そのカナダとバフィン湾をはさんで向かい合うグリーンランド沿岸では、温暖化に伴って各国の資源探査が活発化している。

 一方、人口的にはカナダは3400万人の「中規模国家」でしかない。これほど広大な領域で領土と主権を守り、無尽蔵ともいえる資源を効率よく活用していくためには、常に国家戦略を練り上げておく必要がある。

 カナダは1986年に、大西洋(バフィン湾)と太平洋(ベーリング海峡)を結び、カナダの北極諸島の間を通る北極海北西航路について内水面だと宣言し、外国艦船の無害通航権を認めない立場を明らかにした。

 そして、ハーパー首相は2008年3月、1)経済的・社会的発展、2)統治、3)環境保護、4)主権の防衛を柱とする「北方戦略」を発表した。最初に予算を付けたのが、2017年に退役が予定されている沿岸警備隊の大型砕氷船の後継船や、国連大陸棚限界委員会に提出するデータの収集だった。

 これを受けて2008年5月に発表された「カナダ第1国防戦略」は、1)北極圏を含む国内と北米地域での平時の運用、2)国際的な大規模行事の支援、3)大規模テロへの対応、4)災害派遣など行政当局への支援、5)海外での大規模な長期作戦の指揮・実施、6)海外への緊急展開、を軍の本来任務として打ち出すことになった。

 カナダ軍の20年計画では、装備の近代化のほか、現役6万5000人・予備役2万4000人の兵力を現役7万人・予備役3万人に増強し、基地・施設を改修し、即応体制を高めていく方針だ。

 北極海の防衛もまた、「カナダ第1国防戦略」によって初めてカナダ海軍の本来任務とされた。

 この任務のため、北極哨戒艦(AOPS)と呼ばれる砕氷艦を6‐8隻建造して、東海岸(ハリファックス)と西海岸(エスクィマルト)に配備し、バフィン島北部のナニシビック鉱山跡地(北緯73度)を軍港として整備する方針が決まった。バフィン島の北のランカスター海峡は、北極海北西航路の出入口に位置するからである。

 2010年6月、国家造船調達戦略が発表された。「カナダ第1国防戦略」に必要な海軍の艦船と大型砕氷船など沿岸警備隊の船舶を、公正・効率的に調達するためのものだ。