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『NEWSを疑え!』第68号(2011年11月28日特別号)

『NEWSを疑え!』第68号(2011年11月28日特別号)
◎セキュリティ・アイ:空爆とメモゲートで不安定さを増すパキスタン情勢(主任研究員・西恭之)
◎ミリタリー・アイ:エアシーバトル――米国は自ら効果を殺いでいないか?(主任研究員・西恭之)
◎編集後記:成功する政権、失敗する政権

セキュリティ・アイ(Security Eye):

空爆とメモゲートで不安定さを増すパキスタン情勢(主任研究員・西恭之)

 アフガニスタン国際治安支援部隊(ISAF)のヘリと戦闘機が26日、越境してパキスタン北西部のパキスタン軍監視所を攻撃、同国軍人25人以上が死亡する事件が起きた。

 ISAFの部隊は地上部隊からの救援要請に応じて出動したものだが、パキスタン政府は報復としてISAFの輸送路を閉鎖し、同国南西部のシャムシ飛行場からの米軍・CIA無人機の撤退を米国に要求する事態となった。

 この事件は、パキスタンの文民政権が「メモゲート事件」で揺れている最中に起きただけに、今後のパキスタンの安定性と対米関係の悪化を懸念する材料として注目される。

 メモゲート事件とは、ザルダリ大統領がパキスタン軍部の政府打倒工作に釘を刺すため、米国制服組トップのマレン統合参謀本部議長に要請したとされる極秘メモの存在が暴露され、そこから発した一連の騒動である。

 政権側はメモへの関与を否定しているが、メモはキヤニ陸軍参謀総長に圧力を加えるなどの「直接介入」を求めていたとされ、これにパキスタン軍部が反発し、最大野党も最高裁に調査を求める方針を示した。マレン議長へのメモの仲介を依頼したとされるフサイン・ハッカニ駐米大使は辞任した。

 このメモゲート事件が浮き彫りにしたパキスタンの現状は、次の3点である。

 第1に、このメモが信憑性を持たれていることこそ、軍部が相変わらず文民政権を脅迫できる立場にある現状を示していること。

 第2に、軍部こそがパキスタンとアルカイダやアフガニスタンの武装勢力との関係の清算を妨げており、それがパキスタンにおける「常識」となっていること。

 第3に、ザルダリ政権が米国の圧力を引き出すために、怪しげな個人的パイプを使ったとされることは、政権にとってパキスタンの官僚機構が能力的にも忠誠心の面でも、頼りにできないこと。

 メモの存在を最初に主張したのは、パキスタン系米国人実業家のマンスール・イジャズ氏である。10月10日付けの英ファイナンシャル・タイムズ紙に掲載されたイジャズ氏の寄稿文によれば、今年5月9日、パキスタンの上級外交官から、ザルダリ大統領が米政府に送るメッセージの作成と伝達への協力を依頼され、メモは翌日マレン議長に届けられた。