- 『NEWSを疑え!』第73号(2011年12月15日号)
- ◎ストラテジック・アイ-1:イランが捕獲した米無人機は米国の心理戦?(国際変動研究所 主任研究員・西恭之)
◎セキュリティ・アイ:実態から見た「中国のスパイ活動」(主任研究員・西恭之)
◎ミリタリー・アイ:米国を支えるロジスティクス能力を知る本(主任研究員・西恭之)
◎ストラテジック・アイ-2:東日本大震災・知られざる犠牲──消防団員は何人死んだか(国際変動研究所理事長 小川和久)
・都市化で消防団が消えていく
・本物のボランティア・年間報酬は1万7000円
・消防団を再編して防災力を高める思想
◎今週の言葉:2つの『消防庁』
◎編集後記:ツイッター、Facebookは勉強になります
ストラテジック・アイ(Strategic Eye):
◇◆イランが捕獲した米無人機は米国の心理戦?◆◇
国際変動研究所主任研究員 西 恭之
イランが捕獲した米国のステルス無人偵察機だが、思わぬ形でイラン側に強力なプレッシャーをかける効果があることが判明、米国による高度な心理戦の一環ではないかと囁かれている。
イラン政府は12月4日、領空侵犯した米国のRQ-170センチネル無人偵察機をサイバー攻撃によって強制着陸させたと発表、8日に映像を公開した。米政府当局者も6日、RQ-170が11月29日にアフガニスタン西部上空で操縦不能になったことを認めたが、航法システムの故障が原因で墜落したと主張している。オバマ米大統領は12日、イランに返還を求めていることを明らかにした。
(イランが保管中の米無人機。右下がバスケットコートのセンターサークル
であれば、機体は全長5メートル強、幅14メートル弱。出典[1])
マスコミでは、RQ-170の機体のステルス技術がロシア、中国などに流出する可能性が大きく取上げられている。しかし、RQ-170の能力が判明するに従って、逆にロシア、中国、イランなどが多大な負担を強いられ、強いプレッシャーのもとに置かれる可能性については、語られることが少ない。