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『NEWSを疑え!』第84号(2012年1月26日号)

『NEWSを疑え!』第84号(2012年1月26日号)
◎大転換するか、日本の隣国・台湾の防衛戦略
・『一点豪華主義』で海軍・空軍を整備してきた台湾
・中国の軍事的オプションは、「台湾を斬首せよ!」
・台湾にとっての抑止力は日米同盟だ
◎セキュリティ・アイ:ソフトな海賊対策の可能性(主任研究員・西恭之)
◎ミリタリー・アイ:イラン軟化でも、イスラエルは牙を研ぎ続ける(主任研究員・西恭之)
◎テクノ・アイ:台湾の戦略転換を象徴するミサイル艦艇の戦力(主任研究員・西恭之)
◎今週の言葉:台湾関係法(米国)
◎編集後記:議事録の不在──戦争なら日本は滅びているよ

ストラテジック・アイ(Strategic Eye):

◇◆大転換するか、日本の隣国・台湾の防衛戦略◆◇

国際変動研究所理事長 軍事アナリスト 小川和久

Q:2012年1月14日、台湾で総統選挙がおこなわれ、現職の中国国民党の馬英九(マー・インチウ)氏が民主進歩党(民進党)の蔡英文(ツァイ・インウェン)女史を破って再選を決めました。馬総統の対中政策は経済関係を重視する協調路線で、中国との間で関税撤廃、資金と労働力の自由な流通を目指す「両岸共同市場」を提唱、台中統一、台湾独立、武力行使の三つをいずれもやらない「三不」がスローガンです。総統選の結果が出たところで、台湾と中国をめぐる軍事問題を解説してください。

小川:「中国は、今回の総統選で馬英九陣営を全面的に応援していました。総統選のとき中国にいる台湾のビジネスマンを帰国させ、国民党への投票をうながすために、飛行機の便や切符を手配したほどです。そのこともあってか、国民党が勝利を収めましたが、得票率は馬英九51.6%に対して蔡英文45.63%。馬支持者の10人に1人が乗り換えれば逆転してしまう、という僅差の勝利でした」

「国民党が中国との協調関係を維持しながらも、台湾独自の路線を歩むことができなければ、次の総裁選では必ず政権交代が起こる。そういって差し支えない選挙結果ですね。馬英九総統もそれをよくわかっている。ですから台湾は従来通り、軍事戦略的にはアメリカと協調しながら歩みを進めますが、基本姿勢としては中国の神経を逆なでしない方向でいく、ということでしょう」