- 『NEWSを疑え!』第92号(2012年2月23日号)
- ◎防衛大臣に必要な資質とは?
・『若葉マーク』の大臣ポストだった防衛庁長官
・記憶に残る防衛庁長官・防衛大臣は?
・防衛大臣は「立ち居振る舞い」がすべて
◎セキュリティ・アイ:米専門家が見たアジアの宇宙開発競争(主任研究員・西恭之)
◎ミリタリー・アイ:米国の「戦略核8割削減を検討」報道は核軍縮反対派の猛烈な巻き返しか(主任研究員・西恭之)
◎テクノ・アイ:危機一髪!ロシア核ミサイル原潜の火災(主任研究員・西恭之)
◎今週の言葉:弾道ミサイル原潜(SSBN)
◎編集後記:中国海洋調査船はなぜ「ちょっかい」を出すのか?
ストラテジック・アイ(Strategic Eye):
◇◆自衛隊は「平時の戦争」を戦っているか?◆◇
国際変動研究所理事長 軍事アナリスト 小川和久
Q:先のメルマガでは、緊張感を持って「平時の戦争」を戦っているか、と防衛省・自衛隊に問いかけました。今回は相次ぐ失言が問題になっている防衛大臣の資質について、小川さんの考えをうかがいたいと思います。まず、マスコミ報道に基づいて、前・防衛大臣と現・防衛大臣の問題発言や行動を列挙しておきます。
【一川保夫・前防衛大臣】
●2011年9月2日、大臣認証式の前に「安全保障に関しては素人だが、これが本当のシビリアンコントロール(文民統制)だ」と発言。
●10月17日、仲井眞弘多・沖縄県知事との会談で「(自分の地元に自衛隊の)小松基地を抱え、自治体の苦労はわかっているつもり」と発言。その後、知事は就任挨拶に訪れた竹内春久・沖縄担当大使に「自衛隊基地と米軍基地はまったく違う」と不満を表明した。
●11月16日、ブータン国王夫妻を招く宮中晩餐会を欠席し、民主党議員の政治資金パーティーに出席。「私はこちらのほうが大事だ」とスピーチ。
●12月1日、普天間返還のきっかけとなった1995年の米海兵隊員らによる少女暴行事件について国会で問われ、「正確な中身を詳細には知らない」と答弁。翌2日午前の記者会見では同事件を「少女『乱交』事件」と発言し、その場では訂正せず。
●12月9日、参議院本会議において自民・公明ほか野党7党の賛成多数で問責決議案が可決。2012年1月13日の内閣改造で、事実上の更迭。
【田中直紀・現防衛大臣】
●2012年1月15日、就任2日後にNHK番組に出演し、国連平和維持活動における武器使用基準の緩和と武器輸出三原則の見直しを混同。また、普天間基地移設問題について「年内に実施、着工できるかどうかが当面の手順」と発言。
●1月31日、参院予算委員会で模範発言を耳打ちする秘書官を同席させて答弁し、「腹話術をやめろ!」と野次られる。その後、断りなく委員会を抜け出し、議員食堂で発見。
●2月6日、参院予算委員会で、31日に委員会を抜け出した件について、風邪薬を飲むためだったと弁解。「食堂に行ったらただ座るのではなく、コーヒーを頼む精神だった」「委員会在席が求められている期間は、国会内ではコーヒーを飲まない決意で臨みたい」などと珍答弁。
●2月17日、参院予算委員会で石破元防衛相の「震災の教訓・反省とは何か。3点あげてください」という質問に対し、「自衛隊の装備面、人員面の充実を図り、情報収集能力、実装力、原子力災害への対応能力など、自衛隊の能力の向上に図ることが、ますます重要だと思っている」と答弁。元防衛相が「3点教訓を述べてくれといった。質問は(事前に)通告している」というと、「私には質問が届いていなかった」と陳謝。