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『NEWSを疑え!』第95号(2012年3月5日特別号)

『NEWSを疑え!』第95号(2012年3月5日特別号)
◎セキュリティ・アイ(加筆版):イスラエルはイランを奇襲攻撃する!その理由は?(主任研究員・西恭之)
◎ミリタリー・アイ(加筆版):プーチンの核戦力近代化とオバマの核軍縮のバランス(主任研究員・西恭之)
◎編集後記:だから言ったじゃないの~♪

セキュリティ・アイ(Security Eye)(加筆版):

イスラエルはイランを奇襲攻撃する!その理由は?(主任研究員・西恭之)

 米空軍のシュワルツ参謀総長は3月1日、イスラエルが単独でイランを奇襲する必要はないことを示唆し、世界の軍事専門家の注目を集めることとなった。

 シュワルツ参謀総長は、米軍が既にイスラエル軍との対イラン共同作戦の選択肢を準備していると述べた。そこで挙げられた、イランの体制を支えるイスラム革命防衛隊や情報保安省への攻撃については、核施設への攻撃を主張する米国人の間でさえ「停戦を不可能にするのではないか」として意見が分かれているものだ。それを公言したところに、イスラエルの奇襲攻撃への米国側の危機感が表れている。

 米国側の危機感を募らせているのは、2月13日のニューズウィーク誌がすっぱ抜いた、イスラエルの「米国に対し、イランを攻撃しないとの約束も、攻撃の事前通告もしない方針」である。

 エリ・レイク記者らは「オバマ大統領が、イランが経済制裁に屈しなかった場合の措置として、核施設を攻撃することを約束しようとしない」ことを理由に挙げ、イスラエルの方針の背後に根強いオバマ政権不信があると見ている。

 そうした流れにあって、イスラエルのイラン核施設攻撃の決断を左右するものとして注目されるのは、3月5日のイスラエルのネタニヤフ首相とオバマ大統領の首脳会談だろう。

 レイク記者らによるニューズウィークの記事が大スクープと評価されるのは、イスラエルのオバマ政権不信の背景として、1)2011年5月の首脳会談で(歴代の米大統領と同じく)オバマ大統領がネタニヤフ首相に1967年以前の休戦ラインをパレスチナ和平交渉の基本とするよう求めたことがあり、2)その結果として、イスラエルは2011年7月から10月まで、イランに対する攻撃準備と秘密工作に関する情報を米国側に提供しなかった、という驚くべき事実を白日の下にさらしたからである。

 オバマ大統領がイスラエルの生存を全力で保障すると誓い、バンカーバスター(地中貫通爆弾)を供与し、クリントン政権出身のユダヤ人を重用してみせても、ネタニヤフ政権は「イランに核武装させない」というオバマ大統領の言葉を信じていない。

 米国側が大統領とユダヤ系米国人社会の絆を強調するほどに、かえって「オバマ大統領は米国のリベラルなユダヤ人のように、イスラエルがヨルダン川西岸地区の入植地を撤収すれば、イラン問題は消えてなくなる、と楽観視しているのではないか」と疑われる始末である。

 日本ではほとんど知られていないことだが、オバマ大統領の地元のユダヤ人社会と、ネタニヤフ首相の家系は、イスラエル国家の存在意義とヨルダン川西岸地区の重要性について、意見が分かれている。つまり、オバマ大統領とネタニヤフ首相とは刷り込まれた問題意識からして、対立した部分が存在するということだ。

 オバマ氏が1991年に住居を構えたシカゴのハイド・パーク地区は、シカゴでは珍しく、中流以上の黒人と白人が共存している。その理由の一つは、ユダヤ教礼拝堂KAMイザヤ・イスラエルの聖職者が、信徒に対し、黒人が転入したからといって郊外へ転出しないよう呼びかけたことによる。