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『NEWSを疑え!』第103号(2012年4月2日特別号)

『NEWSを疑え!』第103号(2012年4月2日特別号)
◎テクノ・アイ:弾道ミサイル説を否定する北朝鮮の巨大な発射施設(主任研究員・西恭之)
◎編集後記:頭隠して尻隠さず(小川和久)

◎テクノ・アイ(Techno Eye):

弾道ミサイル説を否定する北朝鮮の巨大な発射施設(主任研究員・西恭之)

 北朝鮮が4月12‐16日に発射し、人工衛星を軌道に投入すると宣言したロケットについて、米国は2月29日の米朝合意に違反すると反発、食料援助を凍結した。日本政府もロケットが落下する事態に備えて破壊措置命令を発令、海上自衛隊のイージス艦を出航させ、航空自衛隊のPAC3地対空ミサイルを沖縄本島、宮古島、石垣島へ展開し始めた。

 そうした日本側の騒ぎの一方、2009年4月に日本海側から東北地方上空を横切るコースでロケット「銀河2号」を打ち上げた時とはまったく違い、今回の北朝鮮は打ち上げが「平和利用」だと主張する根拠を持っている可能性があることは、意外と語られていない。


銀河2号、(左)防衛白書2009年版、
(右)米空軍航空宇宙情報センター『弾道・巡航ミサイルの脅威』2009年版

 今回の打ち上げコースが黄海、東シナ海、フィリピン海の上空を通り、日本など周辺諸国の上空を最大限避けるというだけではない。日本海側の舞水端里《ムスダンリ》発射場と異なり、黄海側の東倉里《トンチャンリ》発射場は、実は、衛星打ち上げロケットのために建設したとする主張が成り立つように、設計されているフシがあるのだ。

 舞水端里では高さ約32メートルの発射塔を用いて、全長ほぼ30メートルの銀河2号が発射されたが、東倉里では高さ50メートルの発射塔が完成している。次の写真は、3月20日に米ジオアイ社の衛星が撮影した画像に、米シンクタンクGlobalSecurity.orgのティム・ブラウン上級研究員(東倉里発射場の発見者)が、発射塔とレール移動式発射台を表示したものだ。


東倉里の発射塔とレール移動式発射台
(http://sitrep.globalsecurity.org/articles/120322840-new-imagery-shows-north-korean.htm)

 北朝鮮が多段式のロケットまたはミサイルを発射するのは、銀河2号で衛星の軌道投入に失敗してから3年ぶりのことなので、今回のロケットも全長30メートル程度になる可能性が高い。その程度の全長のロケットには、高さ50メートルの発射塔は必要ない。舞水端里と同じ高さの発射塔で十分だ。

 一方、東倉里の発射塔を必要とするような全長34メートル以上のロケットを、弾道ミサイルとして配備した国はない。逆に大陸間弾道ミサイル(ICBM)は、地下サイロや自走式発射機に容易に配備できるように、全長を短縮される傾向にある。