- 『NEWSを疑え!』第124号(2012年6月18日特別号)
- ◎テクノ・アイ:どこまでも慎重な中国の宇宙計画を直視しよう(静岡県立大学グローバル地域センター特任助教・西恭之)
◎編集後記:他山の石 頂門の一針(小川和久)
◎テクノ・アイ(Techno Eye):
どこまでも慎重な中国の宇宙計画を直視しよう(静岡県立大学グローバル地域センター特任助教・西恭之)
中国は6月16日午後6時37分(日本時間同7時37分)、有人宇宙船「神舟9号」を、長征2号Fロケットで、北西部の酒泉衛星発射センターから打ち上げ、軌道投入に成功した。
神舟9号には、中国初の女性宇宙飛行士を含む3人が乗っており、昨年9月に打ち上げられた軌道上実験室「天宮1号」とのドッキングに向かっている。今回の13日間の軌道滞在中は、将来の滞在の長期化に備えて、医学データの蓄積、空気清浄装置の実験、中華料理の加熱調理などが計画されている。
天宮1号(左)と神舟シリーズ宇宙船の想像図
(環球網、2011年7月28日)
中国の宇宙ステーション計画は、2013年の天宮2号打ち上げ、2010年代末からの天宮3号建設に向けて着実に前進している。それをもって、日本や米国では中国の有人宇宙開発を米中間の覇権競争の例として報道されることが少なくない。中国が宇宙でも大国の位置を固める一方、2021年以後、中国が参加していない国際宇宙ステーションの運用が確定していないなどの要素が、そうした報道に輪をかけている。